学会発表の成功直後、上司である看護師超の一言に心が折れた。看護師8年目のCさん(30歳・東京勤務)は、責任ある立場を任される中で燃え尽き症候群となり、うつ病を経験した。それでも転職を通じて、再び笑顔や心の余裕を取り戻しました。
この記事でわかること
- 学会発表をきっかけに燃え尽き症候群になった、看護師のリアル体験
- 精神的に限界を迎えたときの”サイン”と”対処法”
- 責任感が強い看護師ほど注意したい”働き方の落とし穴”
- 転職に踏み切るまでの”葛藤と決断”の理由
- 自分に合った職場を見つけるためのポイント
学会発表で燃え尽きた看護師のリアル体験|「完璧主義」は要注意!

👧「私は看護師という仕事が本当に好きなんです」
そう話してくれたのは、東京都内の総合病院で働いていたCさん(33歳・独身、看護師歴8年目)。
急性期病棟での経験を積み、学会発表の実績もある実力派ナース。職場内でも信頼が厚く、責任ある仕事を任されることが増えていきました。
なかでも大きなプレッシャーとなったのが、病棟単位で行う看護研究のリーダー役を任されたときのことです。
「私がやらなきゃ」とがんばり続け、気づけば毎晩のように徹夜。食事をとる時間もろくに取れず、資料を抱えたままソファで寝落ちする日々が続きました。
「今振り返れば、誰かに頼ることもできたはずなんです。
でも、期待されているって思うと、つい自分で全部抱えてしまって……」
発表当日は大成功。会場からは拍手が起き、チームメンバーも達成感に満ちた表情を浮かべていました。
「やってよかった」と、涙が出るほど嬉しかった——その直後までは。
その場にいた看護師長が、笑顔で放ったひと言。
👧「来年もよろしくね!」
心の中で何かが、音を立てて崩れた瞬間でした。
「またこの生活が続くのか」と思ったとき、Cさんの中で何かが“限界”を迎えていました。完璧主義で責任感の強い看護師に多い「燃え尽き症候群からうつ病」。自分の”心”としっかり向き合おう。
燃え尽き症候群(Burnout syndrome)の科学的根拠
稲岡の『看護婦にみられるBURN OUTとその要因に関する研究』よると、燃え尽きに陥ると退職離職が相次ぐようになることは研究報告で明らかにされています。上司とのコミュニケーション問題などの要因が, 心身の疲労を招き, 職場での自己の存在感の喪失につながっています。
また、加藤らの「中堅看護職者の職務継続意志と職務満足及び燃え尽きに対する関連要因の検討」によると、職場の人間関係の不満やマンパワー不足など職務継続への意欲を低下させ、強いストレス要因となっています。早期からのメンタルヘルスケアの重要性が謳われています。

燃え尽き症候群になると、離職や退職が増えます。良い方法は、早いうちから看護師へのメンタルヘルスへの介入です。
看護研究リーダーで抱えたプレッシャーと徹夜の日々

👧「Cさん、今年の看護研究、リーダーお願いね!」
上司からそう言われたとき、Cさんは断るという選択肢すら思い浮かばなかったと話します。周囲から信頼されているという自負もあり、「やるからには絶対に妥協したくない」と自らハードルを上げてしまっていたそうです。
「みんな忙しいし、迷惑はかけられない。自分がちゃんとやらなきゃって、ずっと気を張っていました」
看護研究テーマ設定から文献検索、データ収集、スライド作成まで——全工程を自ら進め、細部にまでこだわり抜いたCさん。日勤後はそのまま病棟のデスクに残り、深夜までパソコンに向かう毎日が続きました。
家に帰っても頭はフル回転。布団に入っても「あの図はもっとわかりやすくできないか」「参考文献の引用は間違っていないか」など、不安が頭から離れず、眠れない夜ばかり。それでも、「発表までは頑張る」と自分に言い聞かせて走り続けました。
「休みの日もカフェにこもって資料づくり。スマホの通知は全部オフにして、気づけば8時間くらい座りっぱなしなんてことも……」
身体は悲鳴を上げていたのに、それ以上に責任感と完璧主義がCさんを突き動かしていたのです。
発表の前日、手直しのチェックリストは10項目以上。それを全て終えた朝、Cさんは職場のトイレで立ったまま泣いたといいます。
成功の喜びを打ち消した上司のたった一言|「来年もよろしくね!」

迎えた学会発表当日。発表は、関東圏全域の看護学会。Cさんのチームは、病棟を代表して登壇しました。
発表は順調に進み、練習を重ねた甲斐もあって質疑応答にも落ち着いて対応できました。発表終了後には、会場から温かい拍手が送られました。
「本当に嬉しかったです。あのときは“努力が報われた”って初めて思えた瞬間でした」
一緒に取り組んできたチームメンバーとも、自然と笑顔がこぼれ、「おつかれさま!」と互いの健闘をたたえ合った、束の間の達成感。
しかしその空気を、ある一言が一瞬で凍らせました。
👧「来年もよろしくね!」
看護師長の笑顔から放たれたその言葉に、Cさんの心はズシンと沈みました。
「あの瞬間、“あ、また始まるんだ”って頭が真っ白になりました。今まで無理してやってきた努力が、来年も当たり前のように求められるんだって……」
その言葉がプレッシャーだったとは、上司は思っていなかったのかもしれません。でもCさんにとっては、それは“もう逃げられない”と突きつけられたような感覚でした。発表の達成感は、わずか数秒で色あせてしまい、帰り道にはすでに心が重くなっていたといいます。
「家に帰って、スーツを着たままベッドに倒れ込んで泣きました。ああ、終わったのに、まだ終わらないんだって……」
それからCさんの心身は、少しずつ崩れていきました。
「うつ病」と診断されて気づいた|“限界のサイン”と対処法

学会発表が終わってから、Cさんの様子は少しずつ変わっていきました。朝起きても体が動かず、仕事に向かうだけで吐き気がする。大好きだった看護師の仕事も、ただ“こなす”だけの日々に。
「気持ちが追いつかないのに、周りの期待だけは変わらなくて……
笑って返事をするたびに、自分が空っぽになっていく感じでした」
ある日、ふと立ち寄ったコンビニで、何も買えずに店を出てしまったCさん。
人混みや音に過敏になり、どんどん社会との距離を感じるようになります。
そして心療内科を受診した結果——「うつ病です」という診断。
正直、ホッとした気持ちもあったそうです。「やっぱり私は、限界だったんだ」と、初めて自分の状態を受け入れることができた瞬間でした。
Cさんが感じていた“限界のサイン”
- 夜寝つけない、または途中で何度も目が覚める
- 常に疲れていて、休んでも回復しない
- 急に涙が出る、感情のコントロールが効かない
- 小さなことでイライラし、自己嫌悪に陥る
- 「ミスしちゃいけない」という強迫感が強くなる
- 何を食べても美味しくない、興味が湧かない
荒井の「うつ病の診断と治療」によると、うつ病の症状は以下にまとめられます。
うつ病の症状
- 睡眠障害(不眠・または睡眠過多)
- 倦怠感,易 疲労感
- 便秘 などの便通異常
- 胃腸症状(食欲低下)
- 味覚 を楽しめない
- 性欲減退 ・月経異常
- 頭 痛・肩 こり・肩腕症候群
- 発汗・のぼせ・筋 肉痛

これらに当てはまると、危険信号です。心と体の休憩が必要なタイミングです。C子さんは、大部分があてはまっていることがわかります。
Cさんが実践した”対処法”
- まずは休職して、無理に頑張ることをやめる
- 心療内科で定期的なカウンセリングと治療を受ける
- 周囲に無理せず「助けて」と言えるようにする
- 「○○しなきゃ」をやめて、「○○したいか」で行動する
- 看護師として働き続ける方法を、転職という形で見直す
荒井によると、「精神科医は脳に器質的な変化がなければ治癒し、機能回復する可能性があると考えている」とのこと。脳に気質的な変化が起きる前に、心療内科にかかる必要があります。

「うつ病」ということを受け入れ、しっかりした治療をしていく必要があります。無理せず、自分のペースで進めていきましょう。
「あの時、環境を変えようって思えたことが、人生のターニングポイントでした」
うつは一瞬でなるものじゃなくて、“無理が積もって限界を超えた結果”。それに気づいたCさんは、次第に“自分を守るための選択”に目を向けていきます。
「転職=逃げ」ではない|そう思えたきっかけ

「転職したら、逃げたって思われるんじゃないか」Cさんが最初に悩んだのは、まさにそのことでした。
頑張って築いてきたキャリアや、人間関係、信頼。それらを手放すことに、強い“罪悪感”があったといいます。
「私は看護師の仕事が本当に好きだったからこそ、
今の職場でダメになった自分を“負け”って思ってたんです」
でも、休職中にカウンセリングで言われた言葉が、心に刺さりました。
🧑⚕️「あなたが壊れるほど頑張らないと続けられない職場なら、そこにあなた最適な場所ではないんですよ」
この言葉が、Cさんの心の中にあった“鎖”を少しずつ外してくれました。
環境を変えることは「前向きな選択」
医師のカウンセリングを受けた時のことを思い出しました。Cさんはまず、「自分がどう働きたいか」を考え直しました。
- 患者さんと向き合う時間をもっと大切にしたい
- チームワークを大事にできる職場で働きたい
- プライベートも大事にしたい
- 無理なく、自分らしく働きたい
それを実現するために、Cさんは看護師専門の転職サービスを利用しました。プロのキャリアアドバイザーと話す中で、視野が一気に広がったといいます。
「自分が働いてきた病院しか知らなかったから、他にもたくさん選択肢があることに驚きました。
“こんな働き方もあるんだ”って、初めて思えたんです」
そしてCさんは、より自分に合った働き方ができる職場へ転職を決意。“逃げ”ではなく、“守るための行動”として、自分を肯定できるようになったのです。
「今は、ちゃんと笑えてます。患者さんにも、チームにも、そして自分にも」
転職後のホンネ|”心の余裕”と看護師としての“誇り”を取り戻せた

転職後、Cさんが選んだのは、患者さんとの関わりを大切にする地域密着型の急性期病院。以前より、業務量も夜勤回数も減り、無理なく働ける環境でした。
「最初は“やっていけるかな”って不安もありました。でも今は、仕事終わりに夕日を見る余裕があるんです。それだけで泣きそうになるくらい、あの頃の自分は追い込まれてたんだなって思います。」
休憩中に笑える。患者さんとちゃんと向き合える。それはCさんにとって、看護師としての“誇り”と“やりがい”を取り戻した瞬間でした。
自分に合った職場を見つけるために意識したこと
- 「有名な病院」よりも「自分が大切にしたいこと」を軸に選ぶ
- 働き方の希望は、最初から遠慮せずに伝える
- 口コミだけに頼らず、転職サポートの人と話して確かめる
- 100点の職場はないけど、「安心できる人間関係」は絶対に譲らない
Cさんは最後にこう語ってくれました。
「転職って、勇気がいるし、正直怖い。でも、あのままの自分でい続ける方がもっと怖かった。“壊れる前に行動してほしい”って、今は心から思います」
あなたも「自分を大切にできる職場」と出会ってほしい
もし今、
「このままでいいのかな…」
「もう頑張れないかも…」
と感じているなら、無理しなくて大丈夫。あなたに合う職場は、きっとどこかにあります。そしてその一歩を、一緒に考えてくれる味方もいます。
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