費用に関しては、病院の医事課(医療費の計算をする方)に直接確認しています。
この記事の信頼性
- 総合病院勤務歴│15年
- 希少!│【運動器認定理学療法士】保有
- 担当疾患│股、膝、足関節を中心とした整形外科疾患全般
- 累計患者│3,000人以上
抜釘とは│身体に入っていた金属をとりのぞく手術
抜釘(ばってい)術とは、手術で身体に埋め込まれた金属の釘やスクリューをとりのぞく手術のことです。例えば、骨折の治療で骨を固定するために釘やスクリューが使用されます。骨が十分に治癒した後、これらの金属を取り除くことがあります。金属を取り出す方法は、特殊な工具を使用して金属を引き抜く方法などがあります。抜釘手術は、基本的に整形外科医によって行われます。
抜釘術の手術時間│30~60分
抜釘術は、骨折の場所や骨の状態、手術の複雑さなどによって変動しますが、一般的には30~60分かかることが多いです。実際には、入室や麻酔の関係でもう少し時間がかかります。
抜釘の前に、医師はレントゲンやCTなどの画像検査を行い、骨の状態を評価します。手術中、医師は骨折部位にアクセスし、骨折片を固定している釘(抜釘する金具)を取り外します。抜釘が完了した後、傷口を適切に閉じ、必要に応じて包帯や創傷の保護を行います。
抜釘手術は一般的に外科手術として行われますが、一部の場合では局所麻酔のみで行われることもあります。手術の出来次第で、患者はしばらくの間、活動制限が必要な場合があります。具体的な回復期間や制限については、医師の指示に従う必要があります。
また、骨折の部位や状態によっては、抜釘手術をやらない場合があります。股関節の骨折などの荷重関節では抜釘しないこともあります。医師としっかり相談してみましょう。
抜釘の入院日数│早くて当日、2泊3日が安心
具体的な入院期間は、1人1人の状態や手術の複雑さによって異なりますので、主治医の指示に従ってください。
一般的に、抜釘手術は2泊3日が多いです。手術後はどうしても傷の痛みが強くなります。その状態では、なかなか身動きがとれなかったり、荷重できなかったりします。早い施設では、日帰り手術のところもあります。しかし、合併症のリスクが高い場合や麻酔の効果が持続する期間が長い場合は、入院期間が延びる可能性があります。
手術後の観察期間や入院日数は、主に以下の要素に影響を受けます。
また、抜釘手術後の回復には、手術後の経過観察や傷口のケアが重要です。医師の指示に従い、適切な安静や傷口のケアを行うことで、早期の回復を促すことができます。
入院の際に、思いがけない出費になるテレビ料金。タブレット端末を持ち込むことで、快適な入院生活になります。タブレット選びは、【2023年最新】タブレットで入院を快適に│高齢者向けおすすめ3選 の記事を参考にしてください。
抜釘の費用│医事課に確認「10万前後」
私の勤務している病院は、DPC対象病院です。信頼のおける医事課の担当者に聞いたところ、抜釘部位にもよるがだいたい10万円前後という回答でした。
DPC制度とは、急性期入院医療を対象とする診断群分類に基づく1日当たりの包括払い制度のことです。包括評価の対象になるのは、入院基本料・検査(画像診断)・投薬・注射などです。手術やリハビリなどは出来高払いになります。抜釘術を調べてみると、部位によって金額が異なります。
K048 骨内異物(挿入物を含む。)除去術
(1) 「1」の「頭蓋、顔面(複数切開を要するもの)」は、顔面多発骨折手術などで、複数個の骨固定材料による手術が行われた症例に対し、複数箇所の切開により複数個の骨固定 材料を除去・摘出する場合に算定する。
(2) 三翼釘、髄内釘、ロッドを抜去する場合の骨内異物(挿入物を含む。)除去術は、手術を行った保険医療機関であると否とにかかわらず算定できる。
(3) 鋼線、銀線等で簡単に除去し得る場合には、区分番号「J000」創傷処置、区分番号「K000」創傷処理又は区分番号「K000-2」小児創傷処理の各区分により算定す る。
今日の臨床サポートより
抜釘後、歩けるまで│はやくて当日、遅くとも翌日
抜釘術、早い施設では手術後3時間で歩行するところもあります。傷の痛みは個人差が大きいですが、一般的には、翌日から歩行開始しますが、痛みが強くて杖や点滴台などの歩行補助具がないと歩けないことがあります。術後2~3日すると、ゆっくりですがなにも使わずに歩行できるようになります。痛みの感受性が強く、炎症反応が強い場合3~7日くらい歩行補助具が必要になることもあります。退院後も杖などを使うかもしれないと思っておきましょう。
リハビリ用の靴は、【理学療法士が厳選!】かかとのある靴おすすめ3選!┃入院用 や【理学療法士提言】これはやめておけ!リハビリシューズの特徴と理由を徹底解説 の記事を参考にしてください。
抜釘後、リハビリは?┃運動指導をしてもらおう
筋力や関節可動域(関節の動かせる範囲)は抜釘手術後には、一時的にともに低下する傾向にあります。リハビリテーションにより、関連する筋肉の強化や関節の柔軟性と可動域を改善し、日常生活復帰をはやめます。リハビリテーションは理学療法士によって行われ、患者さんに合った適切なプログラムを実施してくれます。抜釘後は退院までに期間が短いことから、自宅でできる自主トレーニングをしっかり指導してもらうとよいでしょう。
抜釘術による影響は、傷の痛みや関節可動域、筋力にあります。それらの回復には時間がかかることがあり、患者の心理的なストレスや不安になります。理学療法士や看護師、医師はチーム医療で、患者の心理的なサポートをし回復を支えます。
注意!!
忘れてはいけないので、「抜釘後の再骨折」です。脛骨(すね)などの荷重関節の抜釘の場合に注意が必要です。稀なケースですが、抜釘部位の骨が脆くなっていることがあります。そこに負担がかかり、再骨折します。再骨折では、最初の手術同様に金具をいれる手術を行います。せっかく抜いたところなのに、また入れるのは精神的に参ります。レントゲンやCTなどを確認してもらい、主治医としっかり相談して、抜釘するか決めましょう。
医療保険適応?┃ほとんど対象外です
抜釘術については、ほとんどの医療保険が対象外です。対象外としている理由は、骨折の手術をしたときに将来ボルトやワイヤーを抜く抜釘術を行うであろうということで、骨折の手術をしたときに給付金を支払っているから、抜釘術は治療のための手術ではなく処置になるということです。保障対象としている商品は、手術見舞金などの名目で給付金を支払っています。
まとめ
以上が、抜釘手術に関連するリハビリテーションの必要性、費用、および手術日数についてのまとめです。個人の状態や医療機関の方針によって異なる場合がありますので、具体的な情報は医師や医療機関と相談してください。抜釘後に、関節可動域や筋力が改善するケースがあるので、しっかり自主トレーニングを行うことを勧めます。
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